取り下げについて

先日、一度在留資格に係る申請をした後、やっぱり申請をやめる、取り下げの手続きをしたい、とのご依頼を初めて受けました。

就労系の在留資格の事例だったのですが、既に多くの関係者を巻き込んでいます。雇用契約書も締結済、社宅も手配済、その上在留資格変更許可申請も済。

申請人がその会社で働きたくない、と思ったそうで、そうならば雇用契約締結前にとっとと決めたら良かったのに。優柔不断なんですかね?そうかと思えば、周囲の説得は一切聞かず。結構頑固ですな。

決断までの期間も優柔不断の人らしく長くかかってしまったので、その間に在留期限が過ぎてしまいました。これは当該申請を取り下げた時点で、オーバーステイとなることを意味します。

その場合、担当審査官との個別の相談となり、次に想定される在留資格の申請書を同時に用意しておかなくてはなりません。じっくり考えた方が良い、とまでその審査官の方はおっしゃってくださったのですが、申請人の意思は残念ながら、その後も変わることはありませんでした。

申請した品川入管まで申請人に同行し、審査官に直接会って、その場で取り下げ書を書き、同時に次なる変更許可申請書を出す、といった慌ただしい時間を過ごしました。

その申請人は、独断で勝手に諸々決めて行動に移す傾向にあり、それまでにも周囲を振り回してきました。同行した日も、担当審査官に会う直前までキャップをかぶっていたので、日本では相手に対し失礼に当たる行為なので脱帽するように、と私が指導する始末。無事申請が受理されて一安心といったところでしたが、申請人はしゃあしゃあと高田馬場に遊びに行ったりしてまぁ…子供か(笑) 親の心子知らずを入管で体験した一日でした。

日本で働いてお金を稼ぎたい、というのも確かに立派な動機なのですが、今回の申請人の場合で言えば、それだけではなく、日本のルールを覚えながら、日本で今後どうしたいのか、何をしたいのか、もう少しゆっくり考える必要がありそうですね。

特定技能「受入機関適合性」について(12)

先日、お客様から入管からの追加書類について相談がありました。ある特定技能1号外国人が、一身上の都合で退職した際の届出のことです。

退職に係る書類を準備していた頃、四半期ごとの定期的届出の期限も迫っていました。定期的届出の期限は10月14日であったところ、この退職に係る届出と併せ、一緒に10月5日に投函したとのことです。

その後、10月6日の日付で、入管より追加書類提出を求める通知書が届き、所定の届出書類の期限が過ぎているため、追加で「陳述書」と「退職に至った経緯の説明書」を提出する旨の通知書でした。

退職日が9月20日、提出日が10月5日。14日を過ぎているというなら、たった1日ではないか、と憤懣やるせない阿蘇山大爆発的勢いでお怒りです。

ここで気を付けたいのは、退職に係る届出は随時の届出、定期的届出はその名の通り定期的な届出です。随時の届出は「事由が生じた日から14日以内」です。この事例で言うと、10月3日までに届けなければならなかったということになります。つまり退職日の9月20日が起算点となります。たった1日、と思っていたら、既に2日も過ぎていた、ということです。

定期的な届出は端に置いておいて、もちろん罰則もあるこの届出ですので、随時の届出を優先すべきでした。ここで「既に」と言ってしまいましたが、特定技能所属機関からしたら、厳格であることには変わりがありません。しかも期限までに提出していたら出さなくてよかった書類、「陳述書」と「退職に至った経緯の説明書」まで作成しなければならない、といった不利益まで出てしまいました。その際、自発的離職を立証するために、届出人から一筆取った退職届も備えておくことも重要です。当該お客様は、社内フォーマットできちんと届け出てもらっていました。セーフ!(大汗)

受入機関適合性に関わる欠格事由には、「特定技能外国人の活動状況に係る文書作成、据え置き期間等に関するもの」が省令で定められていますので、認識と周知徹底をお願いします。