金属熱処理業技能実習評価試験パブリックコメントについて

ようやく、ようやく、金属熱処理業科目が技能実習評価試験に追加されることになりそうです。技能実習評価試験に追加されるということは、すなわち「移行対象職種」および「作業」になるということです。

製造業に携わる労働者は独特な技術と専門性が求められるため(どの業界もそうですが)、特定技能1号評価試験合格組を受入れ、即戦力として働けることは望めません。そうなると、技能実習からの移行が現実的であるということになります。

ところが、この金属熱処理業で特定産業分野として、また日本標準産業分類としての該当性はあるのに、特定技能1号評価試験の科目にない、業務区分がない、さらに言うと、技能実習からの移行が可能となる移行対象職種・作業にないという不思議な構造になっていました。(現在の「製造分野特定技能1号評価試験実施要領」をご参照ください)

在留資格特定技能1号申請の際に提出する誓約書には、特定産業分野該当性を確認する「2465 金属熱処理業」と明記されているのですが、制度が追い付いていなかったということになります。

繰り返しますが、ようやく、ようやく(だけどまだ)パブリックコメントにて募集がされました。公布・施行は令和4年11月。現実的に受け入れられるのはさらにその1年先ともいわれていますが、ようやく、ようやく(また言っちゃった(笑))金属熱処理業界の方は準備が進められそうですね。

職種・作業名は以下となる見通しです。

職種:金属熱処理業

作業:全体熱処理作業、表面熱処理(浸炭・浸炭窒化・窒化)作業、部分熱処理(高周波熱処理・炎熱処理)作業

特定技能建設分野「建設特定技能受入計画」の申請について

特定技能建設分野の申請をやらせていただくにあたり、覚悟はしていたものの、やはりクセ強っ!です。でもこれをやっておけば、ひと皮もふた皮も剥け成長しそうな予感…と自己過大評価はさておき。

入管あて特定技能1号変更許可申請までに、国交省宛に建設特定技能受入計画を申請し、認定を受けておく必要があります。標準認定期間は、補正を除き1ヶ月半~2ヶ月を見込まなければならないようなので、現在特定技能1号移行準備のための特定活動4月で在留する申請人のために、出来るだけ急がなければなりません。

一番「クセ強っ!」と思ったのは、受入計画のために提出する書類として、ハローワークの求人票の添付が求められていることです。これは特定産業分野であるための該当性「生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野」であることに加え、建設分野では、「建設業務に就く労働者の有料職業紹介が禁止されており、求人誌や求人サイトによる有料の職業紹介は違法」となっていることによります。(職業安定法より)

その求人票も、特定技能外国人と同じ職種であること、同程度の処遇・待遇であること、受入計画申請日から1年以内の求人であること、そしていわゆる「空求人」でないこと、といった条件を満たすことが必要です。

そしてさらに気を付けるべきは、当該特定技能外国人受入「後」も、人材確保を継続して行い、資料として提出する必要があるということです。

建設業界には、適正就労監理機関である国際建設技能振興機構、略してFITSというガムみたいな名前の機関が、1年に一度巡回指導を行います。特定技能所属機関に巡回指導に行った際に、求人を継続的にやっているかを証する資料として、ハローワークの求人票を求められる可能性がありますので注意が必要です。このFITS、建設技能人材機構(JAC)よりの委託を受け、巡回指導や受入れ後講習などを行い、受入機関と外国人とのトラブル、引き抜き防止の指導なども行う機関です。 しかしこちらとしては、いろいろな機関が登場するので、名前を覚えるだけでも大変…やっぱりクセ強ですな。

帰化許可申請と日本語能力について

明けましておめでとうございます。2022年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

仕事始めは帰化許可申請から始まりました。昨年末から証明書類を収集し、この仕事始めに無事申請できたものであります。

今回の申請人は、母国では大学院を出て日本にいらした方で、日本語がとても上手、意思疎通はなんら支障はありませんでした。しかしながら、日本語テストを合格したことがなく、疎明資料はありません。日本語テストははるか昔、いきなりN2を受けて不合格となって以来、受けていないそうです。

帰化においては、法律上の日本語要件はありません。しかしながら、法務局相談員の方は申請人の日本語能力にはかなりチェックを入れます。相談の合間、または書類チェックの合間に他愛のない話を申請人に振ります。あくまで私見ですが、そのプチチェックで日本語能力の査定をしているのかもしれません。だって、日本人として国籍を有しながら日本語がヘタクソって、普通に考えたら変ですよね。法律上の要件ではないけれど、社会通念上の感覚からなるチェックなのかもしれません。因みに、さいたま地方法務局では、一定程度の日本語が出来ない申請人は門前払いです。

今回の申請人は、試験こそ合格していないけれど、生きた日本語を職業上経験し習得したのでしょう。相談員からの質問にも的確な対話をし、相談時のプレテストで100点満点中98点を取ったものですから、相談員の方も絶賛されていました。対話上、的外れな会話をする申請人に何度か立ち会ったことがある小職は、彼女の素晴らしき対話を聞いて、大いなる安堵に見舞われました。帰化許可申請の場合、行政書士はあくまで付添いをする人でしかないので、会話には出来るだけ立ち入らないようにしています。

この度の申請人の心配事はただ一つ、父親を幼少期に亡くしていたため、両親の婚姻証明書を取得できない、ということでした。そのような場合は法務局に相談した上で申請に臨むべきです。今回の場合は、申請人の母に上申書を書いていただき、法的な裏付けを記述した補足説明書を添えました。申請人の母国の旧民法においては、婚姻を登録しなかった理由だけでは婚姻が法律的に成立しないことにはならないとの説明をし、それは新民法成立後においても有効に婚姻が成立していることを説明しました。

無事申請受理されて以降は、1年半もの審査を経て結果を待つこととなります(昨日聞いた最近の標準審査期間です)。申請人の日本国籍取得を心から願うばかりです。