突然ですが、一夫多妻制が存在する国はアフリカ諸国に多いようです。また二人目以上の妻をめとる際、裁判官の許可を必要とする国もあります。もちろん一夫多妻制を明文で禁止し制限しようとする国もあり、それぞれです。しかし一夫多妻制が存在する国でも、夫には妻を保護し扶助を与える義務があるとされ、それぞれの妻をみな平等に扱わなければならないという決まりがあります。となると、一夫多妻は男性に対しては経済力とえこひいきなどしない度量の広さが求められますので、なかなか大変です。実際、条件が満たせない場合は、イスラム社会でも一夫一婦制が奨励されるとのことです。
なぜこのような話をしたかというと、現在妻と日本で在留しているが、もう一人の妻を母国から呼べるか、または二人(またはそれ以上)の妻と同時に上陸できるか、という相談が度々あるのです。
日本は明治31年、民法によって一夫一婦制が確立しております。刑法では明治13年に、
戸籍法では明治19年に、いわゆる「妾」は姿を消しております。とはいえ、一夫多妻が法律で禁じられた後の近代期でも、妾の風習は残り、社会的地位の高い男性が愛人を囲っていたようですが(渋沢栄一とか)、それはさておき、日本で在留したいと思うなら一夫一婦となります。
前述の相談者のケースでは、先に日本に呼んだ、または夫と一緒に入国した妻以降の妻は呼べません。夫が先に日本に上陸していた場合であって、妻二人を同時に認定証明書交付申請した場合は、二人同時に不交付(不許可)になります。夫は、日本の法律を遵守し、妻を一人だけ呼ぶとしたら、どの妻なのかをきちんと決める必要があります。または、家族内で話し合って検討する必要があります。
さて、かつての日本で妾を持った男性に話を戻すと、それは相手の家族関係などまでも含む経済的にも精神的にも深い関係を維持する、相手の人生丸ごと引き受けたような関係で、言ってみれば複数の家庭を持つようなものだったようです。現代の愛人、不倫のような関係とは随分違ったものであったことが窺えます。