在留資格「特定技能」について(3)

晴れて特定技能評価試験(技能試験)に合格した外国人を受け入れる企業にも要件があります。「受入機関適合性」、つまり特定技能外国人との雇用契約を締結した受入企業の要件に当たります。

法務大臣が、個々の特定技能外国人ごとに、契約の相手方となる「本邦の公私の機関」、受入機関を指定することとなります。ここで注意を要するのが、当該特定技能外国人が転職して雇用契約の相手方となる所属機関が変更となる場合には、在留資格変更手続きが必要となる点です。

技術・人文知識・国際業務等の就労系在留資格の場合は、本邦の公私の機関(勤務先、あるいは契約先)が変更となった場合には、契約機関に関する届出をし、その後の在留期間更新手続きの際に、新たな契約機関に関する資料を提出するといった手続きが一般的ですが、この特定技能については、特定産業分野に変更がなくとも在留資格変更手続きをすることとなります。

さて、「受入機関適合性」の話に戻りますが、この適合性たる基準はどこに定められているのかというと、特定技能基準省令ということになります。その第一条第一項には、特定技能雇用契約の内容の基準のうち、雇用関係に関する事項の基準、そして第一条第二項には、外国人の適正な在留に資するために必要な事項が定められています。

「外国人の適正な在留に資するために必要な事項」とは何か?という話ですが、具体的には、

①帰国担保措置に関するもの。

②健康状況その他の生活状況把握のための必要な措置に関するもの。

③分野に特有の事情に鑑みて定められた基準に関するもの。

①を詳しく書いてみると、外国人との雇用契約終了後、帰国する際の旅費をその外国人が払えないといった場合には、所属機関が旅費を負担してあげなさいよ、というものです。加えて、出国が円滑になされるよう必要な措置をしてあげなさい、というものです。雇用契約が終了したらそれで「はい、以上!」ということではいけません、そこまで面倒を見てあげなさいということです。

②については、例えば、その外国人が病気になった際、外国語の対応が出来る病院をきちんと把握し、何かあれば紹介し、必要があれば付き添ってあげる場面も想定しなくてはいけないかもしれない、ということです。

③これは個人的には一番注意を払わなければいけない点だと思っています。つまり「上乗せ告示」です。その分野を所轄する関係行政機関の長が、法務大臣と協議の上、当該産業上の分野に特有の事情に鑑みて「告示で定める基準に適合」すること、となります。つまり、所轄関係省庁の出す告知の内容も常に掌握しなければならないということです。

「受入機関適合性」の基準の中には、もちろん欠格事由もあります。「日本人が同等の業務に従事する場合の・・・」や「日本人が従事する場合の報酬額と同等以上」といった文言が法令の随所に出てくるのですが、日本人を雇用するのと同じように契約書を締結し、雇用主としての様々な義務を履行してください、ということです。受入機関が一人の外国人を受け入れるには、従前の安価な労働力を得るといったような概念は払拭し、それ相応の意識改革が必要だということになります。

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