もう一つの特定技能外国人となり得る対象者は、関連する職種・作業に係る「技能実習2号の良好な修了者」です。上陸許可基準である技能試験および日本語試験の合格を免除されます。
この「技能実習2号を良好に修了している者」とは、技能実習を2年10ヶ月以上修了した者であって、技能検定3級若しくはこれに相当する技能実習評価試験(専門級)の実技試験合格者がまずあげられます。在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更申請の際に、当該合格証の写しを添付し提出します。
または、正当な理由により、上記の合格証が提出できない場合は、実習実施者等が作成した評価調書が必要です。技能実習生当時の実習実施中の出勤状況や、修得状況を総合的に考慮し、実習状況を記載していただく必要があります。ここで「記載していただく」と書いたのは、技能実習で在留していた際の実習実施機関がそのまま特定技能所属機関(受入機関)とならなかった場合において、実習実施機関にとっては、この評価調書作成は大変後ろ向きな作業であるからです。平たく言うと少々面倒な書類であって、特定技能所属機関が雇用契約をしたいと考えた場合、従前の実習実施機関に、お願いする、という状況になります。そんな時、快諾してくださるでしょうか?例えば、当該技能実習生が一旦母国に出国し、特定技能外国人として在留申請手続きをしようかとなった場合、遡って実習状況を調べ直して記載する必要があります。そもそも、現在は自らの従業員でない人材のためにこのような時間を割くことは、普通に考えて合理的ではありません。
先日経験した事例ですと、当時の実習実施機関の担当者が既に辞職されていて、どうにも書きようがない、と丁重に断られました。技能実習制度上、技能実習評価試験(専門級)の取得が義務ではなかった結構昔の時代だったということもあり、それ以上はこちらとしても何も出来なかったという辛い経験であります。そうした場合は、正攻法で特定技能試験に合格してもらうしかありません。
技能実習からの移行ルートは、既に技能を兼ね備えた即戦力の人材を受け入れられるという点と、技能実習2号を良好に修了した者が特定技能1号への在留資格変更申請をする場合には、一時帰国を要することとはされていないという点が大きなメリットです。